旧サーバー

生産性の向上を目指すなら、人月見積もりはやめたほうがいい

初めの会社で製造業に2年半、2と3番目の会社でソフトウェア開発に従事し7年が経とうとしています。
7年も居ると、色々見えてくるものです。(見えなくていいものまで。)

ここ2、3年は、頻繁に見積もり作業をするようになりました。

 見積もりました、n人月です。

見積もりをすると、いつも言われることと言えば、『こんなにかからないでしょ〜?』とか、『これしかかからないの?』ということです。
個人的には、どっちでもいいんです。
むしろ、想定している答えがあるなら、前もって言っておいてほしい。

以前から、いっつも思うのですが、この見積もりって誰がやった作業かを想定していないということです。
そう”生産性”が考慮されていないのです。
『見積もりに生産性は関係ない』と思う人も居るかもしれませんが、そうであれば人月で見積もるべきでは無いのです。
(FP法など使って見積もっても、”生産性”による差を考慮しないので、結局のところ人月換算にしてしまうなら同じことです。)

そもそも、真面目に仕事をしていようが、お腹を壊して半日くらいトイレにこもっていよいうがその人の給料は変わらないことが多い。(一般的なサラリーマンであれば)
それは、出来高で評価されていないためだと思う。
逆に、与えられた仕事を1日でやってくれとなっていたが、半日で終わればそれはそれで評価されるべきだと思う。
(1日でやってくてとなっていたが、2日かかったのであればそれも評価すべきだと思う。)
見積もりは曖昧な尺度なはずなのに、”生産性”を持った要員が割り当てられていることが問題だと思います。
入社10年目の作業員と入社1年目の新入社員が同じ”人月”で計られるべきではないのです。
つまり、『n人月』と『仕事量』は、紐付いていないのです。

奇しくも私がこの業界に入った7年前に、IPAが警告していました。

 [url=http://www.atmarkit.co.jp/news/200611/29/ipa.html]人月見積もりでは生産性は上がらない、IPAが警告[/url]
[quote]生産性に関しては、ソフトウェア業界において、ソフトウェアプロダクト販売分野の売上高が高い比率を占めている企業ほど労働生産性が高い傾向が見られた。逆に受注ソフトウェア開発の売上高が高い比率を占めている企業ほど労働生産性は低い。ヒアリング内容を含めた要因分析結果として、IPAは「ソフトウェアプロダクト販売は低コストでの再生産が可能であり、高付加価値を生み出しやすい。

受注ソフトウェア開発は(業界が)多重下請け構造になっており、必ずしも効率的ではない。加えて人月単位での管理が一般的であり、労働生産性の向上が売上高増加につながりにくい」としている。 情報処理産業経営実態調査研究会委員長を務める東京大学大学院教授の元橋一之氏は、今回の報告書で「下請け構造が生産性の低さにつながっていることがはっきりした」と語る。「ソフトウェアのアウトプットを計るのは難しく、現状多いのはコスト積み上げ型の何人日という形での見積もり。ソフトウェア工学は進歩しているが、生産性を上げても金額が低くなってしまう。このジレンマが生産性の上がらない要因。それがまさしく浮き彫りになった調査」だという。[/quote]

私がこの業界に足を踏み入れたときには、既にこういうことが言われていたのです。
この文を読んで、( ゚д゚)ハッ!とした人は、Safeでしょう。
なんとも感じない人は、生産性の向上に貢献していないかもしれません。

しかも、この『人月』が一人歩きをしだすから怖いのです。
1人月とか50人月ということで規模が判断されることがあるのです。
つまり、受託側は、生産性の低いメンバーを揃えることで、多くの金額を手にする可能性があるのです。
さらに、開発が遅れそうなときは、追加費用を要求したりします。
不思議なことに、50人月の作業が40人月で終わった場合に、お金を返すようなことはしない。(私は見たことがない。)

そんなIPAの警告よりはるか前からこんなことが言われていたんですね。
(今さら知った自分が恥ずかしい・・・。)

 [url=http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/OPINION/20011118/1/]よいSEにはよい報酬を“人月いくら”はもうやめよう[/url]
[quote]“人月×単価”によるシステム価格の提示方法を改善しようという動きは,今に始まったことではない。例えば情報サービス産業協会(JISA)は,1992年3月にまとめた「情報サービス業の取引高度化に関する報告書」の中で,“人月単価打破へのアクション・プラン”を提言した。[/quote]

1992年からかよ(笑)
[quote]最後にもう一つ,語っておきたいことがある。それは,技術やアイデアの個人差は,とても人月単価では表現しきれない,ということだ。

東建コーポレーションのマルチメディア開発部次長の小山伸治氏は,「(できるSEとできないSEでは)6倍くらいの差がある」と見ている。「優秀なSEは簡単な要件のプログラムに対して3日でプロトタイプを作成し,1週間で完成させたが,だめなSEは1カ月でも仕様すらきっちりしなかった」 もっと大きな個人差を示すデータもある。

米IBMのサンノゼ研究所の実験調査では,数百ファンクション・ポイント以下といった小規模なシステム開発で,開発者によって最大25倍の生産性の開きがあったという。[/quote]

25倍はすごい。
Aさんがやると1ヶ月で、Bさんがやると2年と1ヶ月ということになる。
だから、”人月”で計ってはダメなんですよ、きっと。

これだけ前々から言われてきているのに、こういう体質の企業が存在するということは、きっとそこの”伝統文化”なんでしょうね。
([d]伝統は大事にせねば・・・[/d])
今まで続いていることを変えるのは、[url=http://xp.miyacomp.net/modules/d3diary/details.php?bid=311]ここ[/url]でも触れましたが大変なことです。
まず、話を聞いてもらえませんし(笑)

モノには、それ相応に見合った『価値』があります。
[url=http://xp.miyacomp.net/modules/d3diary/details.php?bid=100]ここ[/url]で、100円ショップのことを当時の私が書きましたが、今でもそうだと思っています。
だから、モノを作り上げる(生産)するのにかかった金額と、モノを売る値段は別なんだと思います。

開発作業においても、『納期』に焦らされるのはまだ良いが、『人月』に焦らされるのは気分が良くない。
みんなが納期を守るために努力してやり遂げたのに、予定している人月をオーバーしているとやんややんやと言われる。
まずは、やり遂げたメンバーを称えてくれてもいいものなのに。
また、『人月』に捉われ過ぎると、伸びるメンバーも伸びなくなるのではと懸念する。
要は、自分の作業枠(仕事時間)を決められてしまうため、鎖に繋がれた状態のようになってしまうのではなかろうか。
伸ばすためには、納期は必要だが、人月は必要ないと思う。

“時間”のことを書いたら、以前拝読したサイトで気に入った内容があったので載せてみる。

 [url=http://d.hatena.ne.jp/rabbit2go/20110921/1316613851]時間に頼る働き方は半人前[/url]
[quote]労働時間に比例して報酬が増えるような仕事は、例えば学生のバイトみたいなものだから、お金は貰えるかも知れないけれど専門知識はなかなか増えないし、経験値を積み重ねることも難しい。雇用者から見れば、他の人へ容易に取り替えが効く仕事に過ぎないので安く使われるのがオチだし、主体性なく言われるままに働き続ける姿勢も困ったものだと思う。

専門家なら仕事量が2倍に増えた時に2倍の時間をかけて片付けるのではなく、同じ所要時間で2倍の効率で片付ける方法を生み出せるはずだし、そのような力を持っているべきだと思う。目の前の仕事を言われた通りにこなすだけなら誰にでも出来るが、単に仕事をこなすだけではなく、そのやり方まで変えるだけの力を持ってこそ、本当の意味での専門家だと思う。だからこそ、プロとして仕事を続けられるのだし、それに相応しい処遇を受けられるわけだ。[/quote]

納得です。

つい先日のこと、たまたまテレビを見ていたら、『スパルタか、自主性か』をテーマとした番組がやっていました。
それは、高校生のラグビー部にフォーカスを当てたもので、スパルタ方式でたたき込む指導者と、生徒の自主性に任せて育てる指導者の話でした。
番組の中でも言っていましたが、『自主性に任せる』というのは、指導者としては本当に大変なこと。
生徒達が、自分らで考え行動し、指導者からはアドバイスをもらうだけ。
みんなで同じ方向を目指しているからこそできることだと思わず感動して涙が出ました。
『自主性』に任せた指導者は、早くして奥さんを亡くしたようで、『妻の人生は楽しかったのだろうか』と考えたそうです。
この出来事をきっかけに、生徒への指導方針も変わったと言っていました。

会社員(サラリーマン)も同じだと思います。
そもそも会社で仕事をしていて楽しいのかと・・・。
「つらいから」「苦しいから」楽しくないというのは、関係の無いことだと思う。
性格がMだからってことじゃなくて、マラソンのように走りきったり、受験勉強のように徹夜したり、それはつらく苦しいかもしれないが、楽しくないとはならない。
走らされたり、無理やり徹夜させられると楽しくないのではなかろうか。
[d]所詮サラリーマンなので[/d]やらされ仕事は多いかもしれないけど、『いっちょやってみるか!』くらいの心構えで挑んで、メンバー全員が同じベクトルになれば、きっと楽しいと思うんだけどなぁ。

ぶぅ、なんともし難い・・・:-(

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